害獣駆除や狩猟を行う際、安全のために心がける服装や装備品、注意点、心得などをご紹介します。
狩猟時の服装
山林や田畑にて害獣駆除や狩猟を行う際、適切な方法で狩猟を行うことはもちろん、安全のために服装や装備品にも注意を払うことが重要です。
野生動物からの直接的被害だけでなくダニ、ノミ、毒虫、植物のトゲなどと接触する可能性のある猟場では、夏場でも長袖長ズボンが基本です。長ズボンは余裕があって動きやすいものを選び、草木や茂みに足を取られないように裾を靴の中に入れましょう。
靴は猟場の環境に合わせて使い分け、水鳥や水辺での狩猟であれば防水タイプを、山の斜面や渓谷であれば滑り止めが付いたタイプを選びましょう。
上半身は、シャツの上にオレンジ系統の狩猟用ベストを着用します。狩猟用ベストには、ポケットの多さや道具の取り出し易さなどの機能性を重視したもの、朝夕の冷え込む山林にも耐えられる保温性を重視したもの、身軽さを意識した軽量化されたものなど様々な種類がありますので、自分の狩猟スタイルに合ったベストを選びましょう。
猟友会に入会すれば、帽子とベストのセットを無償で受け取ることもできます。ベストや帽子にオレンジ系統の色が使われている理由には安全対策の意味付けがあり、同じ猟場で狩猟を行っている他の狩猟者に自分の居場所を知らせるために目立つ色を使用しているという理由があります。
ただし、このベスト着用は狩猟対象となる鳥獣によって例外があります。
例えば、色の識別ができるカモを狩猟する場合はオレンジのベストを着用していると目立ちすぎて、すぐにカモに気付かれて逃げられてしまいます。このような場合は、ベストの上から更に自然に溶け込めるような偽装服を着て、他の狩猟者を見つけたら偽装服を脱いでベストが見えるようにし、自分の存在を相手に知らせます。
他にも、カラスを狩猟する場合には、知能の高いカラスに服装を覚えて逃げられてしまう可能性があるので、迷彩服を着たり作業服を着たりするなど変化を加え、カラスに覚えられないように工夫する必要があります。
狩猟時の装備品
狩猟時に必ず携行しておくべきものの1つに、許可証があります。害獣駆除や狩猟には特別な免許や許可証が必要であり、許可なく野生動物を捕獲することは法律で禁止されています。猟期中の狩猟であれば狩猟者登録証と記章を、有害鳥獣捕獲の場合は捕獲員証を必ず携行しなければいけないのです。服装や装備品などは安全性を考慮した上で動きやすいようにアレンジが出来ますが、許可証や記章の携行は義務付けられていますので、狩猟や捕獲に出る際には必ず忘れないように確認しましょう。
その他に必要となる装備品は、狩猟の対象動物や猟場の周辺環境、猟法によって様々ですが、ここではどのような猟法でも役に立つ道具として、位置情報を確認する道具、連絡手段となる道具、非常用品などをご紹介します。
まずは位置情報を確認する道具です。
同じような景色が広がる山林では、適切な猟場を探したり地形を理解したりするために自分の位置情報を知ることがとても大切です。そこでよく使用される道具が、地図とGPSです。地図は等高線や林道、住宅地、川などが記載されたオンライン地図を印刷したものや市販のものを使用することが多く、持ち運びやすいように折り畳んだり、濡れても滲まないように紙の素材やインクを変えたりと工夫次第で使いやすく加工もできます。
紙の地図と合わせて便利なものがGPSで、衛星と繋ぐことで「自分は今どこにいるのか?」という自分の現在地をリアルタイムで知ることができます。GPSはメーカーや精度に応じて価格が幅広いですが、良いものであればある程精度が高いため用途が広く、入り組んだ土地や深い谷でも電波を受け取ることができます。似たような場所を猟場にしている狩猟者仲間などにおすすめの商品を聞いてみるのも良いでしょう。
次は連絡手段となる道具です。
これには無線機や目印テープなどがあり、複数人のチームで狩猟を行う場合に役立ちます。無線機ではお互いの位置や獲物の頭数・移動方向、狩猟状況などをリアルタイムで共有することができ、狩猟を効率的に行えることはもちろん、緊急時にも役に立ちます。こちらもGPSと同様、機種によって電波の受信・発信の性能などに違いがあるので、ベテランの狩猟者や先輩にオススメを聞いてみるのも良いでしょう。
最後に非常用品です。
非常用品には、非常食や圧縮包帯、絆創膏、滅菌ガーゼ、安全ピン、毒ヘビや毒虫に噛まれた時に使用できる毒抜きなど、様々な状況に対応できるよう必要最低限のものを持ち運ぶようにしましょう。圧縮包帯は、自分自身の怪我や出血はもちろん、猟犬の負傷の際に応急処置としても使用できます。この他にもポリ袋、タオル、ペットボトル、季節によっては虫除けを持ち歩くこともあります。
害獣駆除・狩猟の注意点と心得
害獣駆除および狩猟の目的は、対象動物の捕獲です。しかし、当然のことながら捕獲以前に、安全を第一に考えなければいけません。
自らの安全はもちろんのこと、同じ狩猟者仲間や周辺住民、林道を歩いている人、山菜やタケノコ採りに山に入っている人、登山をしている人などあらゆる可能性も考えて安全に配慮した猟場を選ばなければならないのです。
その他に、狩猟した動物に対しても出来るだけ苦痛を与えないように処理することが望ましく、仕掛けたワナは毎日見回る、銃弾が当たった個体にはできる限り早く止めをさすなど心がけましょう。